テレワーク用ブース 遮音性能試験

■目的

写真1 現地チャットボックス全体

2020年以降,新型コロナウィルスの影響によりテレワーク用ブースを提案されるメーカーが増えてきている.
今回,弊社の規格製品『スライド加工ピンチブロック#07-TS』を使用しテレワーク用ブースメーカーのチャットボックス㈱(製品名:チャットボックス)の協力を得て,扉(戸当たり部)周辺の開口部材がブース全体の遮音性にどのように影響するかの比較試験を行なった.(写真1)

■比較採用パッキング

弊社品「スライド加工ピンチブロック#7-TS(写真2)」の他、「半連続気泡スポンジ(EPDM)スライド加工(写真3)」-「モヘア(写真4)」2種類を加え比較検証試験を行なった.あわせて扉の全周にパテ埋めをし,扉の性能値も測定し各々との比較も行った。

スライド加工ピンチブロック
#07-TS

写真2 #07-TS【w=9.0・t=5.5】

半連続気泡スポンジ(EPDM)スライド加工』(※1)

写真3 半連続気泡スポンジ(EPDM)【w=9.0・t=5.0】
試験ではエプトシーラーを使用。扉の開閉時に破損なきようスライド加工を施した。

『モヘア』

写真4 モヘア【w=9.0・t=7.0】

『パテ埋め』

※)扉の性能値を確認するため、扉の全周にパテ埋めを施した。

■試験結果

図1 ブース内から外部への音響透過損失

 左図(図1)のとおり125Hz~500Hzまでは測定値がいずれもほゞ変わらないことから,当ブース内から外部への遮音性としては,当ブースそのものの限界と推測する.
500Hz以降にそれぞれの特徴が表れた.『モヘア』に関しては,スキマシール材として一般的に市販されている商品だが,『遮音材なし』と同じラインを辿っており,PP繊維による緩衝材として有効であることは想像できるが,遮音目的には向いていない商材であることが確認できる.
また,『スライド加工ピンチブロック#7-TS』と『半連続気泡スポンジ(EPDM)スライド加工(※1)』は,パテ埋めに若干劣ってはいるが,改善方向に向かってほゞ同等のラインを辿っており遮音効果が出ている.
『半連続気泡スポンジ(EPDM)』は,ゴム基材の特性と半連続気泡の構成から開口部のスキマのバラツキへの追従性に優れているが,今回使用した半連続気泡スポンジ(EPDM)は弊社にてスライド加工処理を行なった.製品をそのまま採用するとスポンジのグリップ性が高く扉が閉まらなくなるケースやスポンジが早期で破損し破断による扉・枠への色移行及び理想的な気密が保てなくなる可能性がある. 加工によりピンチブロックと同等値が得られたと考えられる.
スライド加工処理を行っていない半連続気泡スポンジ(EPDM系)の当扉へのご使用は推奨しておりません.
(※1)『半連続気泡スポンジ(EPDM)スライド加工』は規格品ではございません。受注生産品として個別対応いたしますのでお問い合わせください。

■試験方法

図2


左図(図2)のとおりブースを音源室とし,音源室内に試験音を発するためのスピーカーを配置し音源室内に1ヶ所の測定点をとる.受音点は,A室ドア前約1mの位置に受音点を設定.ブース内から外部への遮音性能を測定.また、当ブースは空調機能を搭載しておらず外気を取り込めるように通気口(写真5)と換気装置(写真6)が設置されており完全に密閉された空間ではない状況下での測定となる。

写真5

写真6